赤西仁が幼なじみだったら
アタス子は失恋して仁の家に行くんだ。『お前男に振られるたび泣きながらうちに来んのやめろよ』「だってー」『あいつはやめとけって言っただろ。自業自得』「遊んでばっかで本気で恋したことない仁に言われたくない」『じゃあ勝手にしろ』って仁に言われてアタス子は泣き疲れて寝ちゃうんだ。そんなアタス子の頭撫でながら『俺だって遊びたくて遊んでんじゃねーよ。お前忘れるためだっつぅーの。もう俺、幼なじみやだ。』ってハの字の眉毛で切ない顔して呟くんだよ(;;゚;ё;゚;;)
幼なじみという名の彼氏、仁の部屋でくつろぐアタス子と仁。「アタス子ーマッサージしてー」「いいよー」と肩揉みを始めるアタス子。「肩じゃないって。背中と腰が痛いの!」「えー」「『えー』じゃねーよほら早く!」とベッドに俯せになる。仕方なく仁のお尻の上に跨がってマッサージし始めるアタス子。「弱いーちゃんと全体重かけろって」せっかくマッサージしてやってるのに文句ばっかり言うからアタス子は不機嫌になってマッサージ適当に終わらせようと「はい、おしまいっ!」と仁から降りようとすると、両手首掴まれて「まだ終わってねぇから」とアタス子の手を強引に下半身へ。「ちょ、仁っ//」「アタス子のマッサージがうますぎてここ凝っちゃったじゃん…はい、交代ー」とアタス子を押し倒してくるんだハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
仲間数人で飲んだ帰り。『俺が送るってわかってるからってお前飲み過ぎ』アタス子の家行くけど鍵閉まってるから自分の部屋に連れてくんだ。着くなりアタス子はベットにダイブ。「仁の匂いするぅー」『俺のベットなんだから当たり前だろ。おら、酔っ払い!布団敷いたからそこどけ』「やだ!」アタス子がワガママ言うからわざと仁はアタス子の上に乗ってキスするかしないかの距離で『犯すぞコラ』って言うんだ。「いいよー」『いいよじゃねーよばか。幼なじみが一線超える、この意味わかる?』「(コクン)」『あーもーこんな形で言いたくなかったけど、お前のことずっと好きだった。だから、いい?』「(コクン)」『起きたら忘れてましたって無しだかんな?』って優しくキスして『ずっと待ってた分、容赦しねーよ?(ニンマン)』そこから激しくベロチューしまくって『我慢できね。舌出せ』ってセクロスが始まるんだよー(;;゚;ё;゚;;)ハァハァ
アタス子は高校の先輩に無理矢理キスされて泣きながら家に帰るんだ。その後仁に呼ばれて部屋に行くと明らか不機嫌。「何?」『何じゃねーよ。何か俺に言うことあんだろ』「な、ないよ!」『あ゛?ないわけねーだろ』仁は怒ってアタス子を壁に押し付ける。『さっきキスしてただろ!俺見たんだよ』「あれは…無理矢理…」『無理矢理?じゃあ何で抵抗しねーんだよ!』「いきなり…だったから」『へぇー好きでもない奴とできんだ』「違う!でも何で仁に怒られなきゃなんないの?!」『…黙れ』って言ってアタス子の顎無理矢理持ち上げて拒否するアタス子の口をこじ開けるように舌入れて激しくベロチューしちゃうんだ。『何でお前のファーストキス…俺じゃねーんだよ』って壁殴りながら自分が情けなくて仁は泣いてしまうのさ(;;゚;ё;゚;;)
終業式で倒れてしまったアタス子。生徒会に入ってる仁は別の列に並んでて気づいてない様子で、アタス子はそのまま家に帰った。夜メールで「大丈夫ですか?ホウレンソウ食べましょうね」と送ってくる赤西。実は気づいてた赤西。どうっすか?こんな赤西。
仁と結婚の約束をした幼少期。
仁が守ると約束した小学3年。
仁と少し距離を感じた小学6年。
仁を好きだと気付いた中学1年。
仁がサッカー部のマネージャーしろと言った中学2年。
仁と一緒の高校へ行くと約束した中学3年。
仁に彼女が出来た高校1年。
仁に想いを伝えてふられた高校2年。
仁にもう今までみたいに会ったり出来ないと言われた高校3年。
仁が一人暮らしを初めた大学1年。
仁がずっと付き合ってた彼女と同棲を初めた大学2年。
仁が久しぶりに私の家に顔を出した大学3年…
仁が…結婚するとハガキが届いた今日。
仁ver.
あいつと結婚の約束をした幼少期。
あいつを守ると約束した小学3年。
あいつと少し距離を感じた小学6年。
あいつが俺を見る目が変わった中学1年。
あいつにサッカー部のマネージャーしろと言った中学2年。
あいつと一緒の高校へ行くと約束した中学3年。
あいつが初めて泣いた高校1年。
あいつに好きだと言われた高校2年。
あいつにもう今までみたいに会ったり出来ないと言ってしまった高校3年。
あいつから逃げた大学1年。
あいつが家の前で泣きながら手を振った大学2年。
あいつが心配で久しぶりに家に顔を出した大学3年…
あいつが…幸せになれと涙を溜めて微笑んでくれた今日。
アタス子の部屋に二人でいるとき思わず「なんで幼馴染みなんだろ…」と言っちゃうアタス子。言ったあと我に返り『やば…』と思ったがよく聞こえなかったらしく「なんか言った?」と聞いてくる赤西。「ううん、なんでもない」と笑ってごまかし、しばらく他愛もない話をしてると赤西が立ち上がる。「俺そろそろ帰るわ」「え…もう?」「なんか亀が今から来んだって」「そうなんだ…」「おう、じゃあな」と言って赤西は部屋を出ようとするが一瞬止まって振り返る。「アタス子」と呼ばれ「ん?」と言うと「もうちょっと待ってて」「…?」意味がわからず首を傾げると「もうちょっとしたらちゃんと言うから、…待ってて」と言って部屋を出ていく赤西。
本当に小さい頃から幼なじみだった仁とアタス子。ある時アタス子が仁を好きという噂が流れて周りの友達にひやかされる。
仁が「ち、ちげぇーよ!」って全力で否定するから実は好きだったアタス子も強がって「そんな訳ないじゃん」と否定するが、それでも周りがひやかすから2人はなんだか気まずくなってお互い避けるようになってしまう。
学校だけでなく家の前で偶然会っても目をそらしてそれぞれの家へ、アタス子は急に仁を遠くに感じ始める。自分の気持ちが恋と気付いてはいたけど今の関係でいいからこのまま、と思ってずっと気持ちを押し殺していたアタス子。殺していたはずの気持ちが溢れて、夜中1人仁と撮った写真を見ながら涙を流すのだった。
東京の大学に通うアタス子は同窓会のために久しぶりに地元に帰省。同窓会に行くと『久しぶり!』って仁が迎えてくれるんだけど、その薬指には指輪があって、仁の隣にいる女の子にも同じ指輪が。笑い合う二人が凄く幸せそうで、アタス子は離れた場所で飲むんだ。でも最後くらい話したくて一緒に帰ろうって誘おうと思って「仁!」って呼んだ瞬間、じーん!帰ろう!っていう彼女の声でかき消されてアタス子の声は仁に届かない。『お前飲み過ぎ!』って笑う仁を見て、もう昔とは違うんだって痛感して「あたし帰るね!彼女ちゃんと送ってあげなよ?じゃあね」って急ぎ足で帰るんだ。
しばらく歩いたとこで『おーい!ちょっと待って』仁の声が。「仁?」『お前歩くの速ぇよ!走ったから疲れたー』「どうしたの?」『お前と全然話せなかったから。ごめんな。それだけ伝えたくて』「それだけ?電話でも良かったのに」『お前人がせっかく走ってきたのに。可愛くねーな』「可愛くないのは昔からですー」『そうだったな!…って嘘。お前綺麗になったな』って仁が優しく笑う顔は昔と変わらなくて嬉しいと同時に切なくて何も話せないんだ。『ここまでしか送ってやれなくてごめんな』言葉にしなくても彼女を待たせてるのがわかってるから「うん。ありがとう。じゃあまたね」ってアタス子は精一杯笑って言うんだ。『またなー!』って後ろから仁の声が聞こえるけど、アタス子はもう涙が止まらなくて振り向けない。もう自分の隣には仁はいない、こんな思いするなら振られてもいいから告白するんだったって泣きながら一人でアタス子は帰って行くんだ。
お風呂上がりにキャミ姿で仁の部屋に来て仁がゲームしてる間に寝ちゃうんだ。仁も最初は眺めるだけだったけどアタス子の上に乗って耳舐めるんだ。「…仁?何してるの?」無言で続ける仁に寝ぼけてたアタス子もやっと状況理解して「ちょ!仁」って仁を押すんだけど力ではかなわない。『シッ。母ちゃん達に聞こえるから声出すな』「だって…」『なぁ俺らもう幼なじみ卒業しない?』って言ってアタス子の両手を自分の手で抑えて抵抗できないようにする。「ちょ!本当にや…」『やだとは言わせない(ニンマン)』無理矢理ベロチューして泣きそうなアタス子にますます欲情するんだろー!じーん(;;゚;ё;゚;;)ハァハァ
大人になった二人。明日は仁の結婚式。アタス子と仁は昔よく遊んでた土手に寝そべって星を見るんだ。「もし神様がいたらさ、何お願いする?」『んーなんだろ。お金下さいとか?』「現実的すぎ」『嘘だよ!俺、お前が幼なじみで本当によかった。ありがとな。だから俺はお前が幸せになれますよーにってお願いするわ』「…やだ。あたしは仁と幼なじみが嫌だった」『え…?』「だってさ、幼なじみじゃなかったらきっと、仁に好きって言えたから」アタス子は目に涙を溜めながら笑顔で言うんだ。「だからあたしは生まれ変わったら仁と幼なじみじゃありませんよーに!ってお願いする」って。「あと、仁が幸せになれますよーにって。じゃああたし行くね!ばいばい仁」今まで仁はアタス子の気持ちに気づかなくて、帰っていくアタス子の背中を見ながら『今更…遅ぇよ』って男泣きするんですよね。
毎年バレンタインは幼なじみのアタス子からの1つの赤西。今年も例年通り「これ友チョコ」って渡し「いぇい!サンキューチョコチョコ~」って歌い出す赤西を見て「仁いっつもあたしのだけって寂しい男だね、本命で喜びなよ」と笑いながら言うと「俺の中ではこれ本命なんだけど?」って言われてアタス子はえ?ってなってたら「悪いけど毎年他のチョコは受け取らないだけだから。俺が好きなアタス子の本命チョコだけでいいの」とさらりと告白しちゃうんです。
バレンタインの帰り道(ビズはベージュカーデ)。「今年も大量だね」『食べる?』「食べない」『だって俺チョコ嫌いだし』「知ってる。でもみんな気持ち込めて作ってるんだよ?」『じゃあお前も毎年気持ち込めてんの?』「え?」『俺にくれる、甘さ控えめのクッキー』「それは…」『お前のクッキーが毎年食えれば俺はいいの』ニコッっと仁が笑って『だから、俺のチョコ嫌いは幼なじみのお前が知ってればいーんだよ』ってアタス子の頭ワチャワチャ撫でるんだ。アタス子は嬉しいけど『あ、もしかして本命俺?』なんて仁が調子乗るから「ば…ばーか!昔からの習慣であって、気持ちなんて込めないし本命な訳ないじゃん!」って強がってしまうんですねきっと(;;^;ё;^;;)グフフ
お互い社会人になって会う時間がなくなるんだ。(仁のビズはアネゴ黒沢)久しぶりに会う今日はバレンタイン。仁は今日こそケジメを付けようと思う。『仕事どう?』「まあ、ぼちぼちかな」『そっか』久しぶりに会ったせいか会話もぎこちない。『「あのさ!」』「何?」『いや俺は…。そっちから話して』「あ、あのね!あたし…彼氏できた」思わぬ報告にショックを受ける。でも仁は場を取り繕おうと『良かったじゃん!あーこれで安心して俺も彼女作れるわ。お前を好きになってくれるなんて奇跡に近いぞ?』って無理に明るく振る舞うんだ。
『お前小さい頃は泣き虫だし俺の後ろにいっつもひっついてさー。それが年々気の強い女に育ってそれで』「仁!ちゃんと…話聞いて?」『何?』「あたし…彼氏にプロポーズされた」仁は黙って話を聞く。「プロポーズ…受けようと思う」仁は切ない顔で『もう…決めたんだろ?俺はお前が後悔しないなら喜んで応援する』って言うんだ。「ありがとう。仁には最初に報告したかったから」『幼なじみだもんな、俺ら』自分で幼なじみって口にしたのに現実を突きつけられたみたいで胸が締め付けられる仁。「じゃああたし人待たせてるから行くね?」『彼氏?』「うん。あとこれ、あたしが帰ってから開けて?じゃあまたね」『おう!またな!』精一杯の笑顔でアタス子を送り出す。
アタス子が帰った後箱を開けてみると、昔から毎年もらっていた甘さ控えめのクッキー。そして手紙とCD。「口では言えそうにないので手紙にします。私はずっと仁が好きでした。今日もし仁が告白してくれたら彼のプロポーズは断るつもりでした。でも今これを仁が読んでいるという事は、私は結婚を決めたんだね。卑怯な真似してごめんね?だけど仁への気持ちが大きすぎて自分ではもうどうしようもなかったの。こんな私を許して下さい。そしてずっと借りていたCDを今更ですが返します」
CDを見てみるとそれは仁の部屋で二人で高校時代よく聞いていたサスケの青いベンチ。「このCDは私の青春、私の仁に対する気持ちそのものです。仁に出会えて良かった。本当にありがとう。そしてこのクッキーは最初で最後の本命です。仁の幸せを誰よりも願ってます。」手紙を読み終えると歌詞を口ずさむんだ。『この声が枯れるくらいに君に好きと言えばよかった…か。』『あーやっぱうめぇな。』って泣きながらクッキーの味噛みしめるんだ。そして力ない笑顔で『俺…かっこわる』って笑ってアタス子の手紙何度も何度も読み返して涙でクシャクシャになった顔で『幼なじみって、一番近くて一番遠いな』って呟くんだ。
バレンタイン当日の昼休み廊下を歩いてる赤西の後から聞こえたアタス子の声「仁!」『んあ?』赤西が振り向くと「これほしい?」て顔の前でラッピングされたチョコをちらつかすアタス子。『別にほしくないけど心が海のように広い赤西仁様がもらってやってもいいけど?』「は?たまたま余ったからあげるだけだし。毎年、形の悪い余り物をもらってくれる幼馴染みがいて助かる~」『お前なぁ、もっと可愛く渡せねぇわけ?毎年渡し方ひどくなってんじゃねぇかよ』「仁に可愛くする必要なんてないでしょ」『可愛いい渡し方俺が教えてやろっか?』「余計なお世話だばーか」なんて言いながら自分の教室に戻っていったアタス子の後ろ姿を見ながら今年も変わらないバレンタインのやり取りになんだか勝手に頬が緩む赤西。
放課後、職員室に呼び出されていたため一足遅れて部活に向かおうと誰もいない教室に戻る赤西。ふと窓の外に目をやると人目につかないグラウンドの端にいるアタス子と3年の先輩を見つける。『なにやってんだあいつ』なんて独り言を言いながら予想外の光景に心臓が跳ねる。アタス子が先輩に可愛くラッピングされたチョコを恥ずかしそうに差し出す。『へぇ、俺が教えなくても可愛く渡せんじゃん』アタス子のチョコを笑顔で受け取る先輩に照れるように笑いかけるアタス子。『俺の知らない顔もすんだな』心のどっかでアタス子は自分だけのものだと思っていた赤西。『毎年変わらないバレンタインとか思ってたの俺だけかよ。あーあ、ばかみてぇ…』毎年変わらない幼馴染みチョコと引き換えに自分の気持ちに気付かされた2月14日。
昔からずっと一緒で、会えばいつもふざけあう仲の2人。アタス子は仁のことをただの幼なじみとしか思っていなかったが、仁はずっとアタス子のことが好きだった。しかしアタス子の前では素直になれず、あと1歩が踏み出せないまま高校生になる。昔はクソガキだった仁も背が伸びてかっこよくなり、学校中の女子からキャーキャー言われるように。アタス子は「あんなやつのどこが良いんだろ」と思っていたが、ある日忘れ物を取りに教室へ戻った時に仁が告白されているのを見てしまう。「仁くんが好きです!」「ありがと」…ズキッ…なぜか胸の奥が痛むのを感じるアタス子。それ以上その場にいられず走って立ち去る。「…でもごめん。俺昔から好きなやつがいるんだ。そいつ俺が近くにいてやらないとだめだから」仁がそう言って告白を断ったのをアタス子は知らなかった。
仁には彼女が出来たんだからもうアタスが近くにいたらだめなんだよね…次の日からなんとなく仁を避け始めてしまうアタス子。全く身に覚えがない仁はなんでアタス子に避けられているのかわからず戸惑う。そのまま2週間位経ったある日、アタス子が帰ると仁が家の前で待っていた。黙って通り過ぎようとするアタス子に仁は話しかける。
「おい、シカトしてんじゃねーよ。なんで怒ってんの?」「…別に怒ってないよ」「嘘。お前昔から嘘つく時耳触るんだよな。俺お前のことなら何でもわかるし。例えばお前が俺のこと好きなこととか」「はっ!?仁なんか大っ嫌いだよ!」家に入ろうとするアタス子を後ろから抱きしめる仁。「お前が近くにいねーと調子くるうんだよ…」そう耳元で呟かれ、泣き出してしまうアタス子。「彼女いるくせにそういうことしないで!」「…え、何言ってんのお前」「彼女出来たんでしょ!?こないだ告白されてたの見たもん」「…あー何だそういうことか」「そういうことって何よ」「別にー。やきもち焼いてくれたんだ」「…そんなんじゃないってば!」「嘘。まーた耳触った。わっかりやすーお前」「…うるさい」「ったくお前は俺がいないとだめだなー。ずっと面倒見てやるから感謝しろよ」「え…?」「だから!俺と付き合えって言ってんの」「…彼女は?」「いねーよそんなの。あ、正確には今出来たけど(ニンマン)」「…ばか」こうしてすれ違いの末2人は結ばれたのでした。
なんだかんだで今年のバレンタインデーもチョコを作ったアタス子は、内心ドキドキしながらも「はい義理チョコ!今年もわざわざ作ってあげたんだからね!」って強がりながら渡すんだ。赤西はそっけなく受け取りながら、『なあ、公園行くぞ』って昔よく遊んだ公園に無理矢理連れていくんだ。二人でブランコに座りながらアタス子が「仁っていつも言うのが急なんだよね。見たいテレビあったのに…」ってぶつぶつ言うと、ブランコからすっと降りてジャケットのポケットから可愛くラッピングされた小さい箱を取り出して『ん、逆チョコ』ってアタス子の目の前に出す赤西。そして受け取ってぽかんとするアタス子に小鳥チッスして『来年も本命チョコ楽しみにしてっから(ニンマン)。帰るぞ』って真っ赤なアタス子の手をとって帰るんだ
毎日2人でニケツして帰って、赤西の家でゴロゴロするのが日課なんだ。いつものように赤西のベッド横になって雑誌を読んでいると、赤西がCDとか整理しながら「なーなー、お前さーいつから俺の事赤西って呼んでる?あのー…前まで仁だったじゃん。なんで赤西になったの?ねぇ」って聞いてくる。『え、なんで…なんでかなー?ははは』「なんで?ねぇなんでなんでなんでなんで」『あーかんない!なんとなく?時代の流れみたいな?』「あはは、なんだそれ。意味わかんねー」ここで会話が止まってしまった。アタスがなんとなく気まずくなったから『…そろそろ家帰るわ』って言うと、赤西はこっちを見ないで「おー」とだけ返すんだ。そしてアタスが荷物をまとめて部屋を出ていく時、「あ、アタス子。…なんかさー、なんかさー、なんか…赤西ってやだから…また仁って呼んで。明日から」って八の字眉毛のヘタレ顔で微笑むんだ。
幼なじみでも何故か気まずい思春期。
高校を卒業し、アタス子は地元を離れて大学に。地元に残る幼なじみの赤西仁と離れることに。
今までずっと一緒だった。それが当たり前だった。
その当たり前に続いていた日々が終わろうとしていることが何故か身を切られるように辛くアタス子は卒業までの間仁を避けてしまう。
ただの幼なじみと離れることが何故こんなにも悲しいの?自覚のない思いに戸惑うアタス子は仁とちゃんと話すこともないまま、一人駅に向かう。仁にも知らせないまま駅のホームに立ったそのとき、言い様のない後悔に胸が一杯になる。
うつむき、あふれる涙を拭った瞬間。
今まで一度も聞いたことのない、痛いほど切ない声でアタス子の名前を叫ぶ、幼なじみの声が聞こえた。
その声に振り返ると、必死な顔で駅のホームを走ってくる仁の姿が。
「…何で……?」
息を切らしながらアタス子の肩を強く掴み、真剣な顔をしている仁は何故か怒っていて、アタス子は混乱する。
何で今日行くことを知ってるの?何で来てくれたの?何で怒ってるの?
頭の中一杯に広がる疑問を打ち消すように、強い口調で仁が言う。
「何で何にも言わないんだよ。何で俺を避けてたんだよ。何で勝手に一人で行こうとするんだよ…!」
その声は、怒っているのに何故かとても悲しそうで。
「…ごめん…」
アタス子はうつむき、小さな声で呟く。
「俺、お前に言いたいことたくさんあったんだ。『頑張れよ』とか、『ちゃんと勉強しろよ』とか『メシはきちんと食えよ』とか『いつもにこにこ笑ってればお前なら友達もできるから心配しなくて大丈夫』、とか……」
一人地元を離れるアタス子の不安を感じ、励ますように言う仁に、アタス子の目から涙が溢れる。
「仁、あたし……」
「でも、一番言いたいことだけ言っとく。…もう二度と会えないわけじゃないから……」
そう言って、真剣な顔になった仁は、肩を掴んでいた手を離し、ぎゅっとアタス子を抱き締める。
「……いつでもここで待ってるし、会いにも行く。電話もメールもたくさんする。だから、絶対挫けんなよ。夢を叶えるために。俺も、ここで頑張る」
「仁…」
「…離れても、これからもずっと一緒。…だって…俺お前のこと好きだから」
その時電車が来て、仁の手が離れる。仁に背中を押され電車に乗り込んだアタス子は振り返る。
「仁、あたしも……っ」
震える声で言うアタス子にすっと近寄り唇を寄せて、掠めるようにキスをして。
「…続きは、また今度」
泣き出しそうなアタス子に、仁が寂しさをこらえて笑って手を振ったとき、電車のドアが閉まった。
「…ばいばい、またな」
遠ざかる電車仁は、小さく呟き、一人取り残されたホームで立ち尽くしていた。
人一倍寂しがりやな自分とアタス子が、お互いがいなくても、一人で頑張れるように祈りながら。
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